トラック買取な監視カメラ
不用品回収の『西の善き魔女』全五巻(中央公論新社CNOVELSファンタジア 1〜4八〇〇円 5八五〇円)も、SF的には『キリンヤガ』と共通するテーマを扱っている(←一部ネタバレ)。メインタイトルはスコールズのル=グィン論から借りたものだそうで、「闇の左手」という副題が暗示する通り、最終巻はSF的大団円が待ち受ける。水樹和佳の大河SFマンガ『イティハーサ』(全十五巻がついに完結)同様、ファンタジーに擬態しつつ最後に仮面を脱ぐわけですが、テーマの提示はあくまで控えめ。主役級の女の子三人をはじめキャラ小説の魅力が全開で、同人系ギャグも冴える(大きな声では言えないが学園物の第二巻がツボ)。最終巻はやや走りすぎだが、国産セカンダリーユニバース物の大収穫。チェリイやマキャフリイのファンは必読。先月紹介しそこねた『宇宙への帰還』(KSS出版八九五円)は、書き下ろし主体の国産SFアンソロジー。横山信義、トラック買取と、巻頭からじつに古風なつくりの短編が並ぶが、今はむしろこういう古さが新しいのかもしれない。アイデアとイメージは森岡浩之の「A Boy Meets A Girl」が抜群で、ティプトリー風の痛切なラブストーリーにもなりそうだが、ラストの説明の嵐が雰囲気を壊している。本邦初登場のハリイ・タートルダヴ『精霊がいっぱい!』(佐田千絵訳/ハヤカワ文庫FT上下各六四〇円)は、科学技術ではなく監視カメラ技術文明が発達した
トラック買取
が舞台の改変歴史ユーモアファンタジー。原題は「有毒監視カメラ廃棄物処理場事件」。ゴミ処理場の調査に赴いた小役人が事件に巻き込まれるという、真保裕一でも書きそうな題材を魔物と監視カメラの世界に移植したのがミソ。細かいくすぐり満載で楽しめるが中盤はやや退屈でした。ふだん社会派ミステリ読んでる人が読むと新鮮かも。もう行数がない。今年最大の注目銘柄・牧野修の書き下ろしホラー『偏執の芳香』(発行アスキー/発売アスぺクト一八〇〇円)は、クローネンバーグの演出による『神狩り』の変奏曲って印象で、SF読者もお見逃しなく。その牧野修のライバル(とオレが勝手に思ってる)津原泰水の『蘆屋家の崩壊』とキャシー・コージャの『虚ろな穴』は
不用品回収
で。あなたに理力の守りがありますように。ジム・ドワイヤー&ケヴィン・フリン/三川基好訳『9・11生死を分けた102分崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言』(文藝春秋一八〇〇円)を紹介する。2001年9月11日、航空機が激突して
セミナー
が崩壊するまでの102分間、視点を超高層ビルの内部にほぼ限定し、同時進行で起こる猛烈な混沌を、本書は分刻みに克明に冷徹に具体的に描いていく。航空機激突の瞬間、誰が何をしていたのか。その後、いつ激突したことを知り、誰がどう行動したのか。崩壊の危機があるという連絡はどのようにして伝わったのか(というより、どのようにして伝わらなかったのか)。誰が閉じ込められ、誰が迅速に脱出し、誰が誰を救助し、誰が何も知らないまま死んでいったのか。並列で一気に起こっている出来事が、“二百回以上におよぶ生存者やその家族・知人へのインタビュー、セミナーや消防の交信記録(はじめ当局は記録の公開をしぶったという)、電話の会話の記録などに基づいて”描かれていくのを読んでいると、いいしれない焦燥感に襲われる。南タワーの<みずほ・富士銀行>の社員は、非常にすばやく対応して、ゲートまでやってきたにも関わらず、警備員に「こっちは大丈夫です。オフィスに戻っていいですよ。この
監視カメラ
は安全ですから」と言われ、、あた迅速にオフィスに戻っていく。ぼくは、ここの部分を読んだとき、思わず本に向かって本当に声を出して「いやいや、もどっちゃダメだ、おいおい!」と言っていた。それくらいに焦燥。センチメンタルな描写や大仰な言葉を使わず、人々の行動や高層ビルの構造を、事実を積み重ねるという手法で描写する本社は、読む人によって、多様に受け止めることができるだろう。それほどのパワーを持っている。著者が繰りかえし強調する“緊急事態に果敢に対応しようとしたにもかかわらず、通信の障害や、協力態勢の不備、命令系統の混乱などに大きく行動をはばまれていたようです”から教訓を得るだけでなく、もっと多くのことを、感じさせてくれる本だ。ぶんぶんゲンコツふりまわして絶賛したくなるのを抑えて、なるべく冷静に紹介した。唐十郎/室井尚『教室を路地に!―横浜国大VS紅テント2739日』(岩波書店一七〇〇円)は「横浜国立大学の教授になった唐十郎の授業はどんなものだったのか?」を、唐を呼んだ室井尚による文章、唐と室井の対談、講義メモ、唐ゼミの生徒たちの座談などから構成した本だ。「黒板をぶち破って登場する初講義、赤い木馬に乗って窓の外に消える最終講演」なんて聞くと、エキセントリックな授業を想像するが、実際はただエキセントリックなだけじゃない。最初の授業では、携帯を見たり、抜け出そうとする生徒たちに苦戦する唐だが、唐ゼミが誕生し、生徒たちと劇団を作りはじめると、“両側が血を吸い合う”ような体験になっていく。 “けっして反復されることはない一回限りの人との出会いの中で隠されているものに耳を澄まし、それを引き出して行くような個人の「生き方」や「構え」の中からしかそうした「教育」が生み出されることはない”と断言する室井の文章は熱く、唐へのラブレターのようにも読める(ちょっと照れる、なんで俺が照れるか馬鹿)。野口悠紀雄『ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル』(新潮社一七〇〇円)の内容は、帯の文句が適切に内容を説明しているので引用します。 “ゴールドラッシュの成功者は金を掘らなかった。では、どうやって儲けたのか?シリコンバレーで進行中のIT革命と共通する点はなにか?なぜ多くのベンチャー企業がスタンフォードから輩出したのか?” で、「成功の法則」が検証され、日本経済の未来を切り開くためのヒントが提示される。