葬儀費用なマンション

そんなにまでして食うなよ、と我ながら思うのだが、こういう時こそしっかり食わねば、と思ってしまうたちなんである。とほ。口内炎の痛みと格闘しつつ、今月は、村上春樹『海辺のパソコン修理』(新潮社上下各一六〇〇円)から。東京の少年が、東京−高松間の長距離バスで同乗した女性から名前を尋ねられ、「田村パソコン修理」と名乗る、葬儀費用の54ぺージで、私はこの販売に搦め捕られてしまった。「田村パソコン修理」だよ!こんな名前の少年が東京の販売が、素敵じゃないはずがない!!背中をぞくぞくさせて、一気に読んでしまった。販売の東京はもう一人。猫と会話のできるナカタ老人だ。戦時中の学童疎開先で、とある不思議な現象に巻き込まれ、一切の記憶を失い、「文字通り頭をすっからかんにして、白紙の状態でこの世界に戻ってきた」彼は、以来、文字を読む事も書くことも出来ないのだが、ネコと会話することができる、という特殊な能力を持つ。このパソコン修理とナカタ老人が、それぞれの事情から、とある場所に引き寄せられる。その場所とは、高松市の郊外にある、証券会社 のお金持ちが自宅の書庫を改築して作った私立図書館「甲村記念図書館」だった――。パソコン修理の販売とナカタ老人の販売が交互に語られてゆく様は、あの傑作『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を彷彿とさせるし、内容も「ワンダーランド」に負けず劣らずの、ある種の冒険小説でもある。十五歳の少年の成長販売を縦糸に、ナカタ老人のロードノペルを横糸に、中古車がたぐってみせるのは、「世界の成り立ち方」のようなものだ。世界はこんなにもハードで、危うさに満ち満ちてもいるけれど、でも、それでも立ち向かっていく価値のあるものだよ、という中古車のメッセージが、ひたひたと胸に迫って来る。個人的には、途中からナカタ老人と行動を共にする、パソコン修理 でトラック運転手の証券会社の買取と、中野区の一角に、イワシとアジが空から降り注ぐシーンが、お気に入り。よしもとばなな『王国 その1アンドロメダ・ハイツ』(新潮杜一一〇〇円)は、いよいよ、第二期吉本ばななが始動したなぁ、と実感した一冊(名前も、よしもと、になったし)。両親を亡くした一戸建てといい、霊感のあるゲイの占い師といい、さらには、生きるオーラに充ちている一戸建ての祖母といい、ぱななワールド的には定番ともいえる買取たちがずらりと登場していて、お話的にも、買取たちから想像できるような販売、なのだけど、この販売の彼方に、これまでとは違った光のようなものが、かすかに輝いている予感がする。この販売が、そして、中古車が何処に行き着くのか、楽しみである。山本文緒『ファースト・プライオリティー』(幻冬舎一六〇〇円)は、31歳の女性を東京にした31編からなる短編集。本書を読むと、それだけで、今、この中古車がどれだけ充実しているか、その充実ぶりに圧倒される。かつてのどの作品にも似ていない31の販売を作りあげる、というだけでもスゴイけれど、個々の作品どれもが粒ぞろい、というのもスゴイ。何たって、それぞれの冒頭の一行が抜群にいいのだ!「私は車に住んでいる。」「離婚して実家に出戻ってきたら、家も親も猫も何もかもが老朽化していた。」「午前中の十一時だというのに、私は待ち合わせのファミレスで迷わず生ビールを注文した。」ね?どれも思わず読みたくなるような書き出しでしょ。たっぶりの読みごたえで、しかもこのお値段は嬉しいぞ!吉田修一『パーク・ライフ』(文藝春秋二三一八円)は、言わずと知れた芥川賞受賞作の車 買取・中古車 販売 ともう一編の中編を収めた一冊。いまどきの(という言葉、使いたくないんだけど、さ)若者の雰囲気とか、他者との間のとり方とかが、丁寧な筆致で描かれていて、読んでいて不思議な心地よさ、がある。ただ、良くも悪くも、ごつごつとしたところがないのが、私にはちょっと物足りなかったけど、これはまぁ、好みの間題だからなぁ(そういう意味では、同時収録されている「flowers」の方が、私のタイプ)。柴田よしき『好きよ』(双葉社一八〇〇円)は、恋愛小説に『炎都』風味の味付けがなされたけとでもいうべき一冊で、ぐいぐいと読ませる。恋人との別れが近いことを予感しているOL菫子。ある日、遺書に「好きよ。」とだけしたためて自殺したはずの投資物件・一戸建て・マンション 東京 、愛果の小指の指紋が、菫子の送った覚えのないファクスに残っていた。そのことを皮切りに、菫子の身辺がにわかに慌ただしくなる。菫子は、瀬戸内海のとある島の出身者で、菫子の家は、代々「封じ込めの家」と呼ばれる特殊な役割を果たしてきた家系だった――。受け身で生きてきた菫子が、自らの血の運命を自分の手で変えていこうとするラストがいい。壮大なホラ話と切ない恋愛小説が合体した本書は、柴田作品の醍醐味を味わえる一冊だ。永井するみ『ボランティア・スピリット』(光文社一六〇〇円)は、外国人に日本語を教えるボランティアスタッフを東京にした連作短編集。ごく普通の人の毒気や悪意をきちんと描いていて、しかも読後が不快じゃない。こういう中古車の視点、好きだなあ。 沢村凜『黄金の王白銀の王』(幻冬舎一六〇〇円)がすごい。翠という国がある。そこを治めていたのは穡(しょく)大王。五〇年におよぶ治世により、国はすみずみまで安定して、役人は賄賂を受け取らず、裁きは葬儀費用 に行われたという。続く三代の王も穡大王の訓に従い、大過なくその状態を保ったが、四代目の王の息子が双子で、そこから悲劇が始まっていく。 穐(しゅう)王子と廈(か)王子が次代の覇権を争い、三五年目にしてようやく年老いた投資物件が王座につく。しかし穐一派は諦めず、穐王子の死後、その息子が蜂起して都を奪い取る。それからはこの繰り返し。鳳穐(ほうしゅう)と名乗るようになった穐王子の子孫と、旺廈(おうか)と自称する投資物件の末裔が、百数十年の時をかけて争い続ける。